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むし歯の穴への充填は中世期から

フランスのギイ・ド・ショリアクは、ガーレンと同じに歯痛を歯自身から起こるものと他の部分、例えば歯肉の膿瘍から起きたものと区別した。そして、むし歯の穴の処置後、乳香に硫黄、樟脳などを混ぜたもので、むし歯の穴を充填した。

それでもまだ歯の虫の退治には「にらやねぎ」などで作った薫剤を使えといっている。イタリアのバーレスクは、むし歯の穴の治療後の充填の必要性について「むし歯の穴を充填することは、歯痛を止め、予防でき、むし歯の進行を防ぎ、歯虫を殺し、さらに呼気を爽やかにすることができる四つの利益が得られる」といい、こしょう、ミルラ、塩、阿片製剤のテリアクを混ぜたものを充填するか、五倍シペルス(カヤツリ草)を充填すると特にむし歯の進行を制止するのに有効であるとしている。

五倍子は多量のタンニン酸を含んでいるので有効であったろう。このように、中世期にはむし歯の穴の処置後には必ず何らかの材料で充填するようになった。特筆すべきことは、イタリアのボローニア大学の教授で、後にパドヴァ大学に移ったアルクラヌスがむし歯の穴の金箔充填について説述したことである。

これからすれば、むし歯の穴を封鎖するのに金箔金属を使いだしたのは15世紀後半の頃からであることがわかる。この時代の歯痛の治療は焼灼法、歯肉の刺絡法、乱刺法などの瀉血法が利用され、むし歯の穴にはヒヨスの実やピレトルムなどを配合した硬膏や軟膏を充填した。

しかし、一方では歯虫を殺すために、相変らず、ヒヨスの実やにらを焼いて薫剤として歯虫を追い出す方法もとられていた。このように15世紀後半には、まだむし歯は歯虫が原因として考えられていた。むし歯が細菌によっておこることがわかったのは、近世になってからであった。

むし歯の原因菌ストレプトコッカス・ミュータンスの発見は20世紀前期になってからであった。歯虫などは存在しないのは最近にわかったことになるのである。これは、おどろき、おどろき!!

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