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クラウチの美しい歯

─明治、大正、昭和初期─

南ドイツ新聞記者 ロナルド・レング

優れたストライカーかどうか、昔ならばその歯並びを見ればすぐに見分けがついた。英国の優秀なFWは全員、前歯が欠けていた。70年代の屈強なDFは、リーズ・ユナイテッドのジョー・ジョーダンのような伝説的ストライカーの歯を幾度となくへし折ってきた。

欠けた前歯こそトッププレーヤーの証しであり、強さの象徴だった。だからこそファンは歯並びの悪い選手を、それだけ余計に愛してきた。現在イングランド代表には見事な歯並びをほこるストライカーがいる。歯磨きの宣伝に登場するほどの美しい歯を持つピーター・クラウチだ。DFのエルボーも彼の口元まで届かない。

なぜなら彼の身長は198センチもあるから。近ごろ、とくにセンターFWに長身の選手が目立つ。セルビア・モンテネグロのニコラ・ジギッチ、チェコのヤン・コレルはともに202センチ。彼らこそ未来のサッカー選手だろう。

長身FWがいることによって、攻撃のバリエーションは、はるかに豊かになる。つまり「MFなしの攻撃」が可能になる。DFからの長く、高い、斜めのパスによって、ボールを直接、前線の長身FWへ送り込む。ある程度の実力を持つFWならば、自分より小柄なDFを抑え込んで、つねにボールをゲットできるはず。

その点クラウチはテクニックの面でも非常に優れた選手である。クラウチはしばしば、長身と細身の体格のために、こっけいな、ぎこちない動きを見せることがある。そんな姿を見て笑うファンすらいる。しかし、クラウチはまったく気にしない。

「自分の体格についてはもう慣れっこさ。それにこんな言葉があるだろ」。クラウチはほほえみ、あのきれいな歯をチラリとのぞかせる。「美しい笑顔は、美しい歯から、ってね!」

ロナルド・レング
1970年、フランクフルト生まれ。ドイツ、イングランド、スペインのサッカーに詳しく、2002、05、06年にドイツ最優秀スポーツリポート賞を受賞。

平成18年6月11日(日)産経新聞 ハーフタイム

 

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