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男子のお歯黒

貴族のお歯黒風習の起源

わが国において歯を染めるのは、もっぱら女子の風習であったが、のちには一定の身分ある男子にもこの風習が伝わった。

『閑際筆記』の巻之下に「或人日、延喜(えんぎ)帝(醍醐(だいご)天皇)牙歯素黒(がしそこく)ス。自(みずから)ソノ人ト異ナルヲ悪玉(にくみたま)フ。公卿謹慎、皆ソノ意ヲ知テ歯ヲ染(そめ)、黒カラシム。コレ廷臣(ていしん)歯ヲ染(そむる)ノ濫腸(らんちょう)ナリ」とある。

また、惠命院僧正宣守が書いた『海人藻芥(あまのもくず)』に、「鳥羽(とば)院の御代(みよ)以前は男眉(まゆ)の毛を抜き髭(ひげ)をはさみ鉄漿(かね)を付ける事一切無之(これなく)」

とあるので、男子が女子のように歯染めする風習ができたのは鳥羽院の時代からということが定説になっているようである。これも醍醐天皇と同じような話である。

鳥羽上皇はたいへん歯が悪く、むし歯で人と話をすることをきらった。臣下のものは、政務のご裁可(さいか)を仰ぐのにもなかなか会っていただけない。

そこで公卿(くげ)一同、歯にお歯黒をして、「わたくしたちもこのように歯が黒く悪いのでございます」ということから、公卿たちがお歯黒するようになったというのである。ただし真偽(しんぎ)のほどは不明である。

ともかく男のお歯黒は、はじめは公卿のみであったが、のちに平家が台頭してくると、平家の武将も公卿にならって、お歯黒をつけるようになった。

お歯黒は官位の象徴ともなり、官位五位(諸大夫(しょたゆう))以上のものがつけることを許され、六位以下のものは「青歯者(あおはもの)」「白歯者(しらはもの)」といってお歯黒をつけることを許されなかった。

参考:歯の風俗誌 著者 長谷川 正康

 

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