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日本最古の現存の総義歯は本床一木造り

さて、日本では1925(大正十四)年、高橋正之氏によって宮崎県兒湯郡の古墳から青黄色蝋石製の二歯を彫刻したもの、また1931(昭和六)年、堀講蔵氏によって富山県氷見郡の畑の中から四歯を彫刻した緑色蝋石製の義歯が発掘された。

この付近には弥生成土器の破片があったので弥生期のものらしいという。この蝋石製の義歯からすれば、わが国の義歯の歴史も大変古いことが知れる。

この他、わが国に現存する最も古い義歯は、1978年石井保雄氏によって発見報告された和歌山市成願寺の尼僧佛姫(俗名中岡テイ、一五三八年没)の本床一木造り(いちぼくづくり)の上顎総義歯である。

また、大阪海老江の住人、羽間弥次兵衛浄心(1673年没)、柳生飛騨守宗冬(1673年没)などの使用した上下顎総義歯など、使用者の名の知られているものだけで十数個あり、使用者不明のものを入れると二〇〇個ぐらい現存している。

これらの特徴は、時として蝋石製のものもあるが、ほとんどの材料が木材(黄楊(つげ))であること、その形態と機能は現代の総義歯とほとんど同じで、実用性のあること、さらに義歯の維持法が粘膜への接着(吸着)にあることである。

参考:歯科の歴史おもしろ読本 長谷川 正康 著

 

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