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練歯磨中の火打石で歯がすり減った!

口腔清掃に併用する歯磨剤の歴史は古く、エジプトのパピルスの中に書き残されている。エジプトは、ギリシアと共に西洋文明の発祥の地といわれている。

この世界最古の、しかも、独特の文明を育てたエジプトは、北アフリカ、アスワン以北のナイル河一帯の国で、ナイル河の天恵によって繁栄し、今でも、紀元前1000年頃の遺跡、遺物が続々と発掘、発見されている。

その中でも、一八七三年G・エベレス(Ebers'Georg)教授によって発見されたパピルス(Papyrus)には、古代エジプトの医歯薬に関係のある記録が多数書かれている。

このパピルスはナイル河上流に産するカヤツリ草科の多年草のカミガヤツリ(紙莎草)の繊維から作った紙で、Paperの語源となったものである。

これには、紀元前1500年頃からさらに3000年くらいさかのぼった頃までの医歯薬の記録が載せられている。

その中には、歯磨剤について練歯磨や粉歯磨の処方が示されている。たとえば、練歯磨はビンロウ樹の実を細粉したものや緑粘土、蜜、燧石末(ひうちいしまつ)(火打石)、緑青(ろくしょう)の混合と書かれている。

ビンロウの実は、現在も東南アジアでは嗜好品として存在し、また薬用、染料に使用されている。緑粘土は、おそらく、ナイル河辺の土で硼砂を含んでいる。

この粘土を髪に塗り、棒に巻きつけ、太陽で乾燥させた後、洗髪すると毛が波型になる。これがパーマネントウェーブの始まりで、クレオパトラもこの方法で髪型を整えたという。

したがってレーザーが彼女の髪に魅せられたということも全く根拠のないことではない。また、アイシャドーもすでにこの時代から美容の1つとして使用されていた。

蜜は糊剤にするためと甘味料として使用したものと思われる。人間が初めて口にした甘味は木の実、果実、蜂蜜などであった。

いまから一万年以上前の石器時代の洞窟に女の人が蜂蜜を集めている壁画が残っているし、3000年以上前の古代エジプトのピラミッドの中から発見された壷入りの蜂蜜が腐りもせず保存されているという。

蜂蜜は保健薬、また切傷などにも効果があるという。ヨーロッパに砂糖が入ったのは、マケドニア王アレキサンダーがインド遠征(紀元前三二七〜三二五年)に出かけ、砂糖キビを持ち帰ったときで、それまで蜜が東方諸国はもちろんヨーロッパ唯一の甘味料であった。

燧石末は、石英の一種で、これに鉄片を打ち合せると火花を発生する。これを細かく砕いて使用した。

さらに、緑青(Patina)は銅の錆のことで、重金属塩類には細菌抑制、殺菌作用があることが知られている。それにしても火打石の粉末で歯を擦るので、歯牙硬組織はたちまち減ってしまったに違いない。

参考:歯科の歴史おもしろ読本 長谷川 正康 著

 

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