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音楽雑記帳 その1

昭和61年という年は、スペースシャトル爆発事故、チェリノブイリ原発事故、三原山の大噴火、円高不況の深刻化と実に暗いニュースに明け暮れた一年であったが、しかし、我々クラッシック音楽ファンにとっては、昭和61年という年は、画期的な一年であった。その一つは、東京の赤坂アークヒルズにコンサート専用の本格的ホール「サントリーホール」が完成したこと。又、春にはウイーン国立歌劇場オペラ公演の「ヤノヴィツ」、秋には、英国ロイヤルオペラが来日し、「バルツア」が、我々の前にその美声を聞かせてくれたこと。またこの不安社会に対してロマンを求めるのか、マーラーの人気、又、テレビのNHK特集「ショパンコンクール」で影響され、ロシアの若き天才ピアニストの「ブーニン」の来日で、ブーニンブームとなり若きクラッシック音楽ファンが増加したという社会現象、「しかしこれは、けっしてほめられたものではない。世界のピアノの巨匠「マウリッツオポリーニ」は、ショパンコンクール一位になってから、彼は実力をつけるため、10年以上音楽ファンの前には出なかったのである」。等であろう。話は変わるが、私がオペラに魅せられたのは、学生時代、ヨーロッパに貧乏旅行を3週間程した時のことであった。旅行もあと少しで終わる頃、古都ローマのカラカラ大浴場で、ベルディ作曲オペラ「アイーダ」の公演を見た時である。舞台はエジプトでエチオピアとの戦争の中に散る男と女の悲恋の物語であるが、オペラの舞台に本物の六頭立ての馬車や、アフリカ象などが出てくるから、その圧感に口をあけっぱなしの状態であった。その口を閉じさせたのが喉のかわきをうるおしてくれたコカコーラであったことを今でもはっきりとおぼえている。これを契機にオペラ好きが募り、旅行社勤めの友人達に、一円でも安いヨーロッパ行きの往復航空券を頼むようになった。現在でも東京フランクフルト間のエコノミー運賃は35万円程度だと思うが往復切符17〜8万円を狙うのである。ホテルなどは三文ホテルで充分で、一回でも本場のクラッシックコンサート、オペラ、舞踏会を見ようと必死であった。本場でクラッシック音楽を生で聴くこの気持ちは、鳥肌の立つほど魅力的なものである。いつの日から、独身貴族という言葉があったが、私もごたぶんにもれず、この種の人種に属していて、結婚するまで、ヨーロッパ音楽旅行は数回を数えるに至った。しかし回数は行ってても、行く場所は、ウイーン、ザルツブルグ、ミュンヘン等音楽のメッカで、他の都市はあまり知らないので、大きいことは言えないがヨーロッパかぶれと言われても、私はあえて否定しない。多くの友人達から「ヨーロッパ旅行をやめれば、ベンツの一台でも買えたのに」とよく言われたが、価値観の違いだからしかたがない。ヨーロッパを知ったら、もうメロメロなのである。ヨーロッパの伝統、ファッション、食文化、哲学、政治手法など、全てが好きなのである。ところで、少し音楽の話しにもどすが最近ヨーロッパの音楽好きの話題は、世界で最も優れていると、評判の高い「ベルリンフィルハーモニー」の常任指揮者、つまり現在のヘルベルトフォン、カラヤンの後継者は誰かということである。今年のウイーンフィルのニューイヤーコンサートのカラヤンを見れば、まだまだ元気だとみえるが、彼ももう高齢である。第一候補は、クラウディオ、アバードか、ゲオルグ、ショルティーか、ロリンマゼールか、はたまたシノポリか、そして我らの小沢か、誰もわからない興味深い話題である。今年は春3月にウイーンフィルハーモニーが、その第一候補のアバードと伴に来日するすごい年で、それもサントリーホールで演奏するのである。残念ながら切符を手に入れることはできなかった。小生も年末には恒例となってしまった、ベートーヴェンの「第九」を妻と伴にサントリーホールで聴く機会があった。サントリーホールが完成して、赤坂アークヒルズに一つのクラッシック音楽のメッカができ、東京人でも行きたい新名所となっている。私の音楽雑記帳には、1月にはフォルクスオーパー、2月にはガラコンサート、4月にはオペラ「サロメ」と記されている。しかし極めて多忙の身、また少々体調も崩しているので、月に一度コンサートへ行けるか心配である。夏には、ザルツブルグ音楽祭に行きたいが、暇もないし、だいいち金欠病で、これも実現は不可能である。まあせいぜい今年もサントリーホールへ通う一年になるであろう。忙しすぎる自分の身がコンサートを聴くと疲れが少々取れるのは、いかに毎日のストレスが強いのだと、今さらのように思う。今年は一段と円高不況が深刻化し、中堅企業の倒産が相いつぎ、また医療費抑制政策も、一段と強化されるのに違いない。ここ数年間では最悪の年となることは、ほぼ確実であろう。せめて「心の平和」「心の気高さ」「心の豊かさ」「心のあたたかさ」を失いたくないものだとつくづく思うきょうこの頃である。「武士は食わねどたか楊子」というところか。
このへんで私の音楽雑記帳を閉じることにしよう。

昭和62年1月吉日

坂本貴史

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