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音楽雑記帳 その7

アバドを聞く
前号に記した通り、11月16日(木)渋谷の東急文化村のオーチャードホールでウイーンフィルを聞く機会を得た。最近ベルリンフィルのカラヤン帝王の後継者としてきまった、イタリア人のクラウディオアバドが指揮するのである。さて、最近では、ビデオディスクが普及し、ウイーンフィルの演奏も家庭でいながらにして楽しめるようになった。かつては、「ニューイヤーコンサート」が年に一度のウイーンフィルのテレビでの楽しみであったがそれも今では、生中継で放映されるし、ビデオディスクの普及とともに、あのウイーンフィルもずいぶん身近になったような気がする。ウイーンフィルは1842年に創立された、世界でも屈指のオーケストラである。ウイーンフィルのメンバーは、ウイーン国立歌劇場のメンバーだけがなれるのである。ウイーンフィルの運営は、芸術、機構、経済の各面に分かれていて、全ての決定は原則的には民主的な方法によって決定される。伝統のあるオーストリアにしては、本当に民主的な運営方法をとっている。当初ウイーンフィルは著名な指揮者とシーズン毎に契約していたが、今は常任指揮者をもたず、多くの著名な指揮者と契約を結んでいる自由なオーケストラである。このコンサートにもウイーンフィルの顔である第一コンサートマスターのゲハルトヘッツエルの顔があった。演奏曲目は、モーツアルト作曲交響曲第29番イ長調とブルックナー作曲の交響曲第4番「ロマンティック」であった。モーツアルトは何度も聞いたことがあるが、あまりブルックナーを知らない私にとっては、このコンサートは未知なものであった。最近では、日本でも、ブルックナーは人気があるようである。いつもアバドを見る時、とてもイタリア人とは思えない。緻密な計画をする、頭脳明唽な学者のような顔をしている。その指揮ぶりは、やはりイタリア人らしい明確な表現をする。顔と指揮ぶりは大きく違うような気がする。多くの音楽評論家は、オーケストラを力ずくで支配するのではなく、どのオーケストラとも完璧に合わせうる秀才的なひ弱さを示していると危惧したが、彼は、個性を異にするさまざまなオーケストラに対し、かさにかかっておのれの意志で引きずって行こうとはせず、実にしなやかに相応ずる偉大な指揮者になったのである。きょうのウイーンフィルとブルックナーにしても、実にウイーンフィルのもつ、弦の美しさ、伝統ある豊かな演奏を本当にうまく引き出して、オーケストラと一体となっているのを目の前にして、彼に大きな拍手を送りたい気持ちでいっぱいである。ブルックナーの第一楽章の金管の響きも本当にうまく引き出している。この秋はウイーンフィルづいていて、ウイーン国立劇場のオペラ「ランスへの旅」でも、このウイーンフィルとアバドの競演を聞くことができた。今年の冬はウイーンへ行けないので、日本でたっぷりウイーンフィルを聞くことになった。この平成2年が、ウイーンフィルのかなでる美しい音楽のように優雅で平和で、やさしい1年であってほしいと願うばかりである。今年平成2年のウイーンフィルのニューイヤーコンサートの指揮は、ズービンメータであったが、さて来年は誰が指揮するのか、ぜひウイーンで確かめたいと思っている。

平成2年1月7日

坂本 貴史

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